
川越の公立保育園

私たちの会が発足した1972年当時はまさに保育需要が爆発的に増大した時代でした。女性が職業を持ち家庭から社会に出ていくようになって、保育園の数が不足し、保育条件も保育内容もまだまだでした。急増する保育需要に質量ともに供給が追いつかない時代でした。私たちの会は毎年川越市の担当課と話し合いを持ちながら条件整備を求めてきました。
近年、また待機児童対策が大きな社会的課題となっていますが、私たちは一貫して 認可保育園(法律上の正式な保育園)設置による待機児解消を求めてきました。これにこたえて川越市では順調に認可保育園の設置が進んできています。内容条件面でも完全給食(米飯も保育園で出すということ)の実施、延長保育の拡大、土曜保育の実施拡大、送迎用駐車場の確保など実現してきました。
また、保育士集団も年齢別研究会や自主勉強会、職員会議の充実などで保育内容を不断に高めてきました。
今は岐路?の公立保育園
全国的に見ると「行政改革」を大義名分として公立保育園の民営化が進んでいます。お隣の 鶴ヶ島市や ふじみ野市でも、公立保育園を廃止して法人立保育園に置き換える決定がなされました。
しかし、“お金”を理由に保育園を民営化してよいかは慎重な考慮が必要です。公立保育園は①誰もが安心して子どもを預けられる安全で良質な保育施設、②しっかりしたカリキュラムで子どもの大切な成長期をサポート、③それらを通じて市内の保育施設全般の保育水準を提示、④困難を抱える子やその保護者を率先して受け入れるセーフティネットの役割、⑤保育園に通っていない地域の子や保護者のための身近な子育て支援センターの機能、などを果たしています。すなわち、長い年月をかけてこれだけのノウハウを蓄積してきた大切な市民の財産であり、簡単にお金で買うことのできないものとなっています。
私たちは高い質を保ったまま公立保育園として維持・存続させるべきだと考えています。

目の前の問題
川越市では緊急の課題として公立保育園の民営化が問題となっているわけではありません。しかし、老朽化した園舎の建て替えが進まず、このままいけばいずれ廃園となるであろうことは他の自治体の例を見ても容易に想像できます。
公的な施設の老朽化は保育園に限らず、市の施設全般にいえることです。市は計画的な建て替えや改修を実行していくべきですし、そのなかでも保育園を「未来の市民を育てる場」として位置付けるべきと考えます。
市内で最も古い木造園舎の古谷保育園(昭和44年築)に関しては昨年、地元の自治会からも建て替えの陳情が川合市長に対して行われました。

もう一つ大切なこと
さて、公立保意見の果たす役割については少しご理解いただけたと思います。
他方で、川越で育つすべての子どもたちの健やかな育ちのためには、公立保育園に限らずあらゆる保育施設で保育の質が高められ、確保されていくのでなければなりません。ところが、新しくできた認可保育園では日常の保育をめぐりたくさんのクレームがあがっていたり、保護者の不安が広がっています。また古くから運営している認可保育園でもアレルギー対応がきっちりできないなど、問題が指摘されているところがあります。それだけ“保育”というのは力量の必要な事業なのです。認可基準のない(財政援助も乏しい)認可外施設ではなおさら課題も多いのではないでしょうか?
私たちは、これらの施設に対しても必要な支援を行うよう川越市に求めています。市民の皆さんもどうか 見守りをお願いします。